福島原発の現状、今後の対策について 大前研一氏の解説

福島原発の深刻な状況が明らかにされるにつれて、このたびの複合的な震災については、複数の視点から問題点をえぐりだし、巨視的、微視的双方の見地から、今後の復興への対策を練っていかなくてはならないことを痛感させられます。

今日は、福島原発事故直後から状況を解説し、様々な提言をしてきた人物、大前研一氏の見解に耳を傾けてみたいと思います。
同氏は、3月下旬の段階で、福島原発1号機、2号機、3号機のメルトダウンを確信していました。
氏の発言の内容は、YouTubeの数多くの動画で確かめることができます。

ここにご紹介させていただくのは、5月15日の大前研一ライブです。




大前研一の解説、福島原発の現状等、原発情報を纏めている方のブログがあります。

http://genshi.seesaa.net/

以下に、上記ブログに掲載されている記事を引用させていただきます。


大前研一ライブ|原発解説動画を書き起こしました。 5/15
この記事は、bbt(ビジネス・ブレークスルー・757チャンネル)
http://bb.bbt757.com/

の5月15日放送分
http://www.youtube.com/watch?v=FUmoQaAbh2Q



大里:大前さんの新しい本です。日本復興計画。日本復興計画、大変好評だという事で、読者の皆さんから、沢山、ご意見、そして質問が、寄せられています。

文藝春秋さんとのコラボ企画ということで、twitterなどで寄せられた質問に、大前さんにお答え頂くことになっています。今週ですね、早速頂いていますので、ここで幾つかご紹介していきたいと思っております。まずはこの質問からご紹介しましょう。

日本復興計画の中で、津波地震と原子炉の3つの組み合わせの存在しうる場所は日本とカリフォルニアしかないと、浜岡原発のリスクを指摘しています。原子力安全保安院津波への防護策などの実施後、運転再開としていますが、これで浜岡万全でしょうかと。

大前:確かにね、津波とか地震はあるけれども原子炉がないってのはね、スマトラかなんかがそうですよね。で、アメリカの東海岸はね、津波とか地震っていうのは、殆ど経験してないんでね。まあ絶対無いかっていうと分かりませんが、今までの歴史上はないんですね。

だから、サンアンドレアスフォールト(San Andreas Fault=サンアンドレアス断層)のあるね、フォールトライン(Fault Line=断層線)の行ってるカリフォルニア。
で、南の方にサンオノフレというね、殆どサンディエゴに近いところにある。ああいう原発が、海岸にありますんでね。ああいう所が今、非常に問題になってきてますよね。

で、浜岡ですけども、菅直人さんが、浜岡の停止命令っていうか、停止要請を出しましてね、中部電力もこれに従ったんですけど。これはやっぱおかしいんですね。
基本的には、原子炉ってのは、地震が来たら止まる。だから、今止めても、地震が来てから止めても同じなんですね。

福島第一の問題っていうのは、止めた後に、全電源が喪失して、冷却ができなくなったと。いうことなんですね。で、しかも冷却はどのくらいやるの?っつったら、3年から5年はやってないといけないわけですね。という事は、今止めても、地震が来たとき止めても、同じなんですよ。

で、本当にあそこに津波が来て、水没するような事になれば、安全性は、今止めたからって増すことは無いわけですよ。で、津波が来て、水没する事がなければ、地震が来てからでもよかったという事で。

今回菅さんは、非常にそれでね、国民の支持を得て、人気が出てるような事を言ってますけども、実はあれ、関係ないんです。今回の災害の教訓は、地震でもないし、言ってみると津波でもないんですね。それによって、電源が喪失することなんです。

浜岡の場合には、屋上に、原子炉建屋の屋上に非常用電源持ってったんで。少なくとも20m以上、上にはあるんですね。だから、完全に水没して、電源そのものも全部ね、ショートしてしまったとか、そういうことが起これば別ですけど。今回の処置というのは、格好はいいけど、意味がないんですね。

私はなんであんな事言ってんのか、って言って、ちょっと調べてみたら、実はアメリカのせいなんですね。アメリカがとにかく、浜岡を閉めろ、浜岡を閉めろって言ってるのは、日本に対する信頼がゼロだから。

浜岡が福島第一状態になったら、自分のとこの第7艦隊のヘッドクオーターがある横須賀がやられちゃうと。で、横須賀に、今回のみたいに、高い放射能が検出されるようになると、米軍の場合にはね、隊員を全部待避させないといけないと。これがたまらないと。言う事でもって、やっちゃった訳ですよ、

だから、これはですね、菅さんの意思決定というよりも、アメリカのロビー活動なんですね。アメリカは大使館をはじめ、アメリカは総出で色んな人にですね、浜岡閉めろ、浜岡閉めろ、って。

だから、面白かったのは、海江田さんとかね、それから菅さんが、「他の原子炉は大丈夫ですか」って記者会見で聞かれて、『他はいいんです』って言って。そうですよ。アメリカに言われてないんだもん。だから、他はいいんです。ね。言われたのは浜岡だけなんですと。

つまり、第7艦隊のヘッドクオーター、で実はこの第7艦隊っていうのは、アメリカじゃなくてですね、今では横須賀にあって。しかもアメリカの太平洋側から、ハワイはおろか、インド洋から、湾岸まで、カバーしてる、すごいものなんですね。
で、前はブルーリンチというのが旗艦でね、そこがヘッドクオーターだったんですけど。
今名前が変わって別の船がやってるみたいですけど。そういう所で、洋上にヘッドクオーター、司令部があるわけですよ。

で、そこの所にみんなね。1万人を超すような人が退避しないといけないと。なったら大変だという。これはアメリカの一方的な理由ですね。

で、私が滑稽だと思うのは、浜岡を閉めてみたところでね。今シャットダウンしてみても、本当に電源喪失になったら、やっぱり福島状態になっちゃいますよね。で、そういう風にならないように上に持ってっちゃって、原子力保安院の方は一応オーケーって言ってたわけですよ。一応オーケーという事を言ってた訳ね。だから、原子力保安院がオーケーって言ってるのに、菅さんが閉めろって言った理由は、考えてみると、やっぱりアメリカには弱いのね、と。こういう感じですよね。くたびれる。わけですよ。

はい。次の質問行きましょう。


大里:はい。こちらです。大前さんがご指摘した、東西グリッドの統一化をすれば日本全国の電力を分け合えると思います。何故2ヶ月経過した今、話が進まないのでしょうか。

大前:そうですねえ。これはですね、実は、金が結構掛かりますね、今までのような経費で、ハイボルテージDCというね、HVDCというようなものを入れていくとすると、少なく見積もっても、1兆円くらい、全部融通するようにするとね。1000万キロワットぐらいですかね。それで多分大丈夫だと思いますけど。
今の125万キロワットに比べて、10倍弱ですかね、そういう風なものをやると、金が掛かる。誰が負担するかという、こういう問題がありますよね。

それから、今まではどちらかっていうと、中部電力から融通してもらうと。この東西のグリッドっていうのはダム、水力ダム3つあって、そこでやってんですけども。今まで中部電力に余裕があるという想定でやってたのが、いや、実は中部電力も足りないと。言うんで関電から借りてくると。こういうことですからね、ちょっとこれ、優先順位落っこちちゃったのかなと。という感じではありますね。

ただ私は長期的には東西グリッドをですね。1000万キロワットアワーぐらいまでね、せめてその半分の500万キロワットくらいまで、キャパシティを作っておくべきだと思うし、これは国策としてやるべきだと思うんでね。

超高圧の送電網に関しては、私はやっぱり、国営、公営化論というのを唱えています。
で、原子炉も当然のことながら公営化して、それ以外の所が、東電とか、関電の様な9電力がやると、発電はね。

で、超高圧送電だけは全国一律に、公営にして、あとは今までの地域会社は配電会社になると。ただ、発電の方もですね、ユーザーに対するメリット、我々消費者に対するメリットがないといけないんで、発電への参入を、地域独占だったのを、自由化するという、これが非常に私の提案のポイントなんですけども。

そうなってくるとね、JALに対するローコストキャリアのようなね。LCCのような感じになって、とても従来の9電力が対抗できないと思うんですね、安いところがどんと入ってきてやるという。

そうなってくると、我々ユーザーにとっては、電力料金が下がると。今、政府が言ってるのは東電救済のために電力料金を上げようかっつってるんですけど、とんでもない発想なんですね。

そんだったら、発電を自由化して、参入を自由化して、値段下げろと。
こういう圧力を当然我々はしないといけないと。こういうことですね。

このような事を私としては提案し続け、実は明日もね。民主党のね、原発対策チームっていうのがありましてね、そこで、午後話せという事になってるんですよ。
100人以上代議士が出てくるそうですね。100人いて何やってるんだと。そういう気持ちも無いではないんですけど。そこでですね、この東電の問題とか、原発の最終的な処理について意見を言えと。言うんでね。もう私は聞かれたら、行きますけど。行くんですけど。

大里:しっかりお願い致します。

大前:まあそうですね、あの私の場合にはその心配は全然無いです。
もう言いたい事を言って帰ってきますけどね。ただ、彼らの方はどこまで吸収力があるのかと。というのは、私が言ってることはね、2ヶ月前に言ったことばかりなんですよね。3月の19日。皆様もyoutubeを見て頂いたみたいですけど、あそこで言った事が、ようやく今皆さんが、これを消化して、これからってこういうことでしょ。
政府はさらに遅いですよね。
そうすると、甲論乙駁出て来てね、さらに遅くなると。こういうことがありますんでね。もっとスピードを上げる方法について、色々言わないといけないですけど、このミーティングそのものに、100人の代議士が出てくるっていう事はね、すごいですよね。

うち、分かってる人が1人もいないなんつったら、ちょっとこうなっちゃいますけど。何とかして欲しいと思いますね。


大里:はい。ここまではtwitterに寄せられた質問をご紹介させていただきました。番組でもこの企画につきまして質問を受け付けていますので、ここで改めて、質問の投稿方法を確認しておきたいと思います。

いつものように番組のホームページをご覧頂きまして、ホームページの中ほどに言っていただきますと、「講師への質問はこちら」というボタンがあります。此方をクリックしていただきまして、質問をお寄せ下さい。

是非、文藝春秋の日本復興計画、一読頂きまして、「一問一答」へ質問をお寄せいただければと思います。

大前:そうですね、本を読んでいただいて、twitterの方から質問していただいて、この番組、及び、必要であれば、もっと長い時間、答えだけを録画して、また、youtubeでupするという、こういう計画ですんで。今週、来週、再来週ぐらいまでは、これでね、続けていきたいと思います。

大里:はい。政府は13日、福島第一原発事故に伴う東京電力の損害賠償を支援する枠組みを決定しました。これは東電が上限なく補償の責任を負う事を基本に、電力各社と国が東電の支払いを支援する事などが盛り込まれています。
また、枝野官房長官は同じ日、金融機関が事故以前の東電への融資の債権放棄等をしなければ、国民の理解は到底得られないと発言した事を受け、この日の株式市場で大手銀行株が軒並み安の展開となりました。

大前:これね、またこれ政府はちゃめちゃやってんですよね。まずね、東電賠償の上限がないよと言ってますが、ちょっと待って下さいねと。東電に賠償する力ってのは今ですね、殆どないんですね。キャッシュも4000億円しか持ってないし、保険も1基あたり1200億円しか入ってないし。借金7兆円あるし。資産は9兆円あるけども、殆どが水力発電所とか、まさにこの原子炉ですよね。したがって、キャッシュになるものってのはね、殆どないんですよね。

で、しかも7兆円の借金というものがありますね。したがって、時価総額も3兆5千億あったやつが、今5000億円くらいに落っこちてきちゃったと。また今回の発表によって、さらに落っこちる可能性ありますね。そうなってきたときにね、枝野さんが暢気にですね、金融機関は債権を放棄せよと。こういう風に言ったとするじゃないですか。そうするともう、銀行借り入れも出来ないでしょ。

だから、ただいま現在でもですね、賠償する力がゼロのくせにね、銀行からも借りられない事を、政府の官房長官ともあろう人が言ってしまうと、上限は無いよっていうのはかっこいいけども、実は、今のところ、ゼロ以下の能力しかないわけですよ。
そうでしょ。ゼロ以下の能力しかないけど上限ないよって言ったときは、じゃあ、東電じゃない人ですよね、で、ないよって言ってる人が金融機関に対して債権放棄を迫るってことは、もう追加的に金融機関から借りられないでしょ。

マーケットからは調達できませんよね。時下総額が4000億に落っこちたと仮にしますよね。そうすっと、もう、自分の株を倍出してみても8000億にしかならないでしょ。だから、あとは4000億しか、資金調達、市場から、出来ないでしょ。実際にはそれまでに私は、東電の株は殆どゼロになっちゃうと思うんですね。

という事は市場調達の道を閉ざして、銀行借り入れの、追加借り入れの道を閉ざして、上限無い賠償しなさいって言ったら、どうなるんですか。我々、国民が払うしかないでしょ。
国民が払う、つまり納税者が払うか、電力料金と言う形で、消費者が払うかしかないじゃないですか。そういう風なアホな事がね、平気でいって、左と右の脳がつながってないような事をやってるのは何事なのかと。

それで野田財務大臣がね、当たり前のことを。「国民負担極小化が基本」と。いい事を言ってくれましたね。じゃあ枝野を黙らせろと。こういう話ですよね。何をやってるのかと。

つまり東電はですね、もう市場からも銀行からも調達できないと。したがって、上限がなかろうがあろうが、全部国民が払うしかない。そういう賠償の仕掛け。

しかも賠償額がでかくなったのは、必要もないのに強制立ち退きをさせたり。必要もないのに、出荷制限をした、政府自身じゃないですか。この辺がね。まあ、私は今のテーマはこの前も言ったようにね、「馬鹿な政府を持つと高くなる」と、いうのが次の本ですから。いいんですけど。こういう事例を毎日のように作ってくれてるのをありがたいと思うんですけどね。何とかして欲しいと。




ビジネスブレークスルーはですね、1998年の4月に設立されました。資本金は14億7700万であります。で、業務と致しましては、マネジメント教育を通じて人材開発をしたいと。この様に思っております。

特に、世界のどこでも通じる、ビジネスリーダーを育成したい。学生から社長さんまでと、言う事ですね。講師陣も豊富。コンテンツは実にですね、6000時間のマネジメントコンテンツを持っており、日本、たぶん世界でも最大のコンテンツライブラリであると思いますし、またこれはですね、先ほど申し上げましたエアキャンパスというブラウザで一発検索できると。言う事で、エアサーチというプラットフォームを持っております。

で、通常の配信形態は、スカイパーフェクトの757チャネルという衛星放送で見ていただくという事ですが、最近はどちらかと言うとブロードバンドで、パソコンをオンデマンドで見たり、IphoneAndroidIpod、そういったものを使ってですね、移動中でも、世界のどこに居ても、見て、また議論が出来るという。こういう環境を整えております。これまた、日本はもとより世界でも初めての双方向の教育システム、ということになってます。

大学と致しましては、大学院がですね、2005年、文科省によって認可されまして、経営管理専攻、また、グローバリゼーション専攻というMBAのコースを2つ持っております。

また、経営学部という学部がですね、認可されておりまして。ここでもまた、グローバル経営学科と、ITソリューション学科が文科省によって、認可されている。という事であります。

で、ここに、サービスの一覧という事で、マネジメント教育サービス、起業家養成、これあの、非常に歴史の古い。アタッカーズビジネススクールというものをここで持っております。ABSですね。

で、このABSは既に5500人が修了致しておりまして、700ぐらいの企業を作ってくれている。上場した企業も6社出ております。その他に、企業研修、特に、次世代リーダーの研修。

それから、経営者の勉強としては向研会と大前経営塾というものを。これ、プレジデント社と一緒にやっております。経営コンテンツのメディアサービスとしては、コンテンツの配信と、会員サービス。大前研一通信なども出しております。

また、法人に限って言いますと、人材開発ソリューションということで。特に、こういう人を作りたいという、企業のトップの要請がありますと、それに合わせた教育プログラムを作っております。

BBTの大学につきましては、先ほど申し上げましたように、学部と大学院。それからオープンカレッジという事で、単科で、項目別にですね。科目別に取る事も出来る。特に、問題解決の力をつけたいと。いう問題解決力、トレーニングプログラム。それからイノベーション講座。株式資産形成講座。実践ビジネス英語講座。というのがあります。初級、中級、そして上級。こういう風なクラス分けになっております。

やり方ですけれども、先ほど言いましたように、衛星放送と、それからインターネットによる配信。これが中心で、エアキャンパスという一つのブラウザから、全ての講義が受けられ、また、ディスカッションにも参加する。クラスの討議にも参加すると。こういう風な事になっております。