八丈島での地熱発電

こんな記事を見つけました。
以下、yahoo newsからの引用です。
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脚光浴びる地熱発電 離島、エネルギーも地産地消
産経新聞 8月19日(金)7時56分配信


【再生エネ探検】

 東京の南287キロ、羽田空港から空路約45分の海上に浮かぶ八丈島。南国情緒あふれるこの島は、地下に眠るマグマのエネルギーを生かした地熱発電が島民の生活や産業を支えている。

 ひょうたん形の火山島で2つの山があり、南東に位置する標高約700メートルの緑豊かな三原山の山道を登ると、高さ44メートルの風力発電のタワーを併設した東京電力八丈島地熱発電所が見えてきた。硫黄のにおいが強く鼻を突く。

 ◆夜間は需要7割OK

 地熱発電所は国内に18カ所あるが、離島にあるのはここだけだ。約8千人が暮らす島の電力需要1万キロワットに対し、最低需要の3500キロワットに合わせて平成11年3月、出力3300キロワットの地熱発電所が建設された。

 運転開始当初は蒸気井が2本あったが、井戸のパイプが詰まって1本は埋められ、現在の出力は2200キロワットに減った。それでも、東電の八丈島事務所の大井基弘所長(46)によれば、「電力消費の少ない夜間は、地熱発電で需要の7割が賄える」という。

 発電所建設のきっかけは、平成元年から3年まで行われた新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)の調査で、地熱発電に適した「マグマだまり」が確認されたことだった。

 八丈島の電力は、重油を燃やすディーゼル発電が中心だった。現在も地熱発電で補えない部分は、ディーゼルで対応しているが、島外からタンカーで輸送する重油はコストがかさむ。東京都八丈町の山下奉也副町長(57)は「島外の燃料だけに頼らず、一定程度は自立する必要があると思った」と振り返る。

 発電所のある中之郷地区を含め、八丈島には温泉がいくつもあるが、住民の反対はほとんどなかった。

 「町が自然エネルギーを生かしたクリーンアイランド構想を打ち出し、誘致に熱心だったことも計画を後押しした」(大井所長)

 ◆島おこしにつなげて

 マンゴー、パパイア、パッションフルーツ…。地熱発電所から歩いて5分ほどの町営の省エネ温室には、約50種類の南国の果実や花が並ぶ。熱帯系の観葉植物や果樹の栽培は島の主要産業だが、温室は地熱発電所の余熱を活用している。

 発電の際に出る熱で農業用水を約40度に温めて発電所から配管で運び、熱交換器で温風にして室内を暖める。町が発電所の周囲に整備した約1万平方メートルの「温室団地」では、12軒の農家が、それぞれの省エネ温室で温室栽培を行っている。

 「以前は温室の暖房に灯油を使っていたが値段が高かった。発電所の温水で費用が10分の1になった」と話す菊池義郎さん(70)は、約1千種類の熱帯植物を栽培する。温室団地ができる前は灯油代を節約するため、低い温度で栽培できる種類に限定してきたり、温室栽培をやめる農家もあったが、今は温風を送る電気代しかかからない。

 地熱発電所の建設で、八丈町は、「エネルギーの地産地消」「産業と観光振興」の青写真を描いている。省エネ温室に加え、魚の養殖を成功させ、島おこしにつなげる。発電所の見学で、島を訪れる人が増えれば、観光PRにもなる。

 離島の特性を生かし、地産地消の自給エネルギーである地熱発電との共生を目指す八丈島。その取り組みは、日本のエネルギー政策の目指すべき一つのモデルといえる。