ゆりかごの唄

ゆりかごの唄
北原白秋
一、
  ゆりかごの うたを
  カナリヤが 歌うよ
    ねんねこ ねんねこ
    ねんねこよ
ニ、
  ゆりかごの うえに
  びわの実が ゆれるよ
    ねんねこ ねんねこ
    ねんねこよ
三、
  ゆりかごの つなを
  木ねずみが ゆするよ
    ねんねこ ねんねこ
    ねんねこよ
四、
  ゆりかごの 夢に
  黄色い月が かかるよ
    ねんねこ ねんねこ
    ねんねこよ


幼い頃、ソノシートで聴いた「ゆりかごのうた」。
美しいことば、ゆりかごに揺られているようなリズム、やさしいメロディーが大好きでした。
見たことのない夢のような情景に憧れたり、木ねずみってなんだろうと思いめぐらしたりしながら、繰り返し歌ったものです。
大きくなって、木ねずみが栗鼠であることを知り、この歌詞を書いたのが北原白秋だとわかってからは、
白秋のほかの詩とともに、深く愛するようになりました。
そしていつの日か、枇杷の実る庭で赤ちゃんを抱き、この歌を歌う自分を夢見るようになったのです。

わたしの娘たちが小さいころには、この夢は叶いませんでした。
でも今、我が家には枇杷が実っています。
いつの日か、娘たちに赤ん坊が生まれたら、その子を抱いて、枇杷の下で揺らしてあげましょう。
孫と一緒に枇杷の甘い実を味わい、この歌を歌いましょう。
新しい夢が、わたしの胸に、ひそかに育っています。