ホロコースト記念日〜Barbaraの "Les voyages"

5月1日は、イスラエルホロコースト記念日(国際ホロコースト記念日は1月26日)でもありました。
エルサレム郊外のヤドバシェム(「手と名前」の意)慰霊博物館での式典では、ネタニヤフ首相が、世界はユダヤ人を滅ぼそうと願うのをどうか止めてほしい、イラン、ハマスヒズボラなどの敵からの攻撃に対しては、イスラエルは防衛の備えをしなくてはならないと訴えました。ペレス大統領は、ホロコーストユダヤ人がなんとか自衛していかなくてはならないことを証明していると語り、イランの指導者がホロコーストを否定していることを非難し、人種差別に立ち向かうイスラエルを讃えました。
イスラエルの主な新聞各紙 http://www.haaretz.com/http://www.jpost.com/http://www.ynetnews.com/home/0,7340,L-3083,00.htmlを参照)


昨夜、フランスで鈴蘭を贈る風習があることを書きながら、私は、シャンソン歌手バルバラのことを思い出していました。シャンソン歌手にはユダヤ系の人が多く、バルバラもその一人です。1930年にパリで生まれ、「黒いワシ」「ナントに雨が降る」「いつ帰ってくるの」などのヒット曲を放ち、一切広告をしないのに公演のチケットが発売直後に売り切れてしまうとの逸話を持つ彼女は、何度か日本も訪れています。1997年に亡くなったあとも、ピアノの弾き語りを中心とする作品の高い芸術性と表現力により、世界中に感銘を与え続け、圧倒的な賞賛を受け続けている彼女ですが、ナチによる迫害の時代には、田舎を転々としながら、隠れ住んでいました。そしてその頃のことは、固く口をつぐんで語ろうとしなかったと言われています。

あまりにも深い哀しみや心の闇について語るのが難しいことは、ホロコーストの体験のない多くの人も実感するところです。しかしながら、ホロコーストという他に比較のしようもない闇を体験した彼女がそれを語るまいとした気持ちは、察するにあまりまるものです。私は彼女の沈黙を、沈黙のうちに受け止めることしか出来ません。

彼女のすごさは、闇に包まれた時代の体験をじかに語らずとも、その作品で、ステージで、その存在自身で、人間の愚かさ、そして素晴らしさ、人生における希望や喜びの大切さを、聴く者に感じさせてくれるところにあるのではないでしょうか。

私は彼女の数ある名曲の中でも、 "Les voyages"(旅)が最も好きです。
この曲を皆様にご紹介したいと思い、youtubeを探したところ、嬉しいことにすぐ見つかりました。どうぞ、ご視聴ください。

Ah les voyages!
Aux rivages lointains, aux rêves incertains
Que c'est beau les voyages!
Qui effacent au loin nos larmes et nos chagrins
Mon Dieu,ah les voyages!
Comme vous fûtes sages
De nous donner ces images...
Car les voyages,
C'est la vie que l'on fait,le destin qu'on refait
Que c'est beau les voyages!
Et le monde nouveau qui s'ouvre à nos cerveaux,
Nous fait voir autrement
Et nous chante comment
La vie vaut bien le coup,malgré tout

Ah jeunes gens!
Sachez bien profiter de vos 20 ans!
Le monde est là,
Ne craignez rien,il n'est pas méchant
Il vous guidera...

Les voyages...
Qui murissent nos coeurs,qui nous ouvrent au bonheur
Mais que c'est beau les voyages...
Et lorsque l'on retourne chez soi
Rien n'est comme autrefois
Car nos yeux ont changé,et nous sommes étonnés
De voir comme nos soucis étaient simples et petits...
Car les voyages... tournent une page...
Ah les voyages...


……
人生は素晴らしい たとえ何があろうとも

若者よ
二十歳のときをうまく利用する術を知りなさい
世界がそこにあるわ
何も恐れないで それは不親切ではないの
それはあなたを案内してくれる……