札幌医科大学 高田純教授 東日本の放射線状況を報告

高田純さん(札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門教授。非政府組織・放射線防護情報センター代表)によって、4月12日に報告された東日本の放射線状況です。

高田教授、先日ご紹介した稲恭宏博士の講演に共通しているのは、チェルノブイリの事故とは異なり、今回、福島原発事故によって大気中に拡散した放射線については、このまま事態が収まっていけば心配はいらないということです。

海水や地下水を汚染した放射性物質については、今後、汚染水や原子炉、格納庫、原子力発電所全体をどのように処理していくかで、見通しが異なってくるのでしょう。

引き続き、冷静に事態の推移を見守り、いたずらに放射能汚染を怖れることは避けたいと思います。

しかしながら、低レベル放射能についての新しい見解がその正当性を広く一般に認識されていない現状では、科学者ならぬ一般市民が慎重に安全策をとるのはやむを得ない部分があります。専門知識のない私としては、完全に楽観的になることはやはり出来ません。政府が、計画避難や緊急避難の地区を指定したのは、原子炉の状況次第では、さらに悪いことが起きる可能性も否定できないので、最悪の事態を想定した上で、いつでも退避できる態勢をとる必要があるためなのだろうとも思うのです。

さりとて、行き過ぎた心配によって、累積放射能の量が多いとされる地域の住民や、農業、畜産業、漁業に携わる方々の損害を大きくし、日本に対する海外の評価を損なうような政策を、政府自らが先導し、一般市民に必要のない不安を与えているのだとしたら、これは実に馬鹿馬鹿しいことではないでしょうか。

福島原発事故の悪影響を避けるためのさらなる避難など必要ない」と確信する専門家の方々には、今後とも、政府や国内外のメディアに対して、市民に対して、正確な報告と説得力のあるわかりやすい説明を続けていただけたらと願っています。