沈まないゴム製のアヒル

「教育新聞」http://www.kyobun.co.jp/ 最新号のコラム"円卓"に、南山大学総合政治学部教授の宇田光さんが、「沈まないゴム製のアヒル」と題する説得力ある短文を書いておられます。


ごく稀にしか起こらない事象を恐れて予防接種を拒否したり、医薬品の害を恐れるあまり効果のない高価な健康食品に依存したり、非科学的な報道に煽られて放射能汚染を極端に恐れたりする現象を、マジシャンのJ.ランディ(ユリ・ゲラーのトリックを見破った人)が、「沈まないゴム製のアヒル」と呼んでいるそうです。論理的に説明して不安を沈めても、沈めても、浮き上がってくるからでしょう。

取り締まっても取り締まっても発生する振り込め詐欺や、破壊的カルトも、この類。疲れて叩くのを止めてしまえば、犯罪が溢れることになります。


『こうした危険性を広く伝える立場にあるマスコミも、あてにならない。それどころかテレビは、平気で新たな「アヒル」を乱造したりする。
 視聴率に目がくらんでしまうわけだ。
 クリティカル・シンキングの能力を磨いていく教育。また、正しい情報を手に入れる努力を、自分自身ですること。自衛する姿勢が、何よりも大切なのである。』
と、教授は、コラムを締めくくっておられます。


この夏、思慮を欠くことによって乱造されるこのアヒルが、日本のあちこちに、ぷかぷか浮いているようです。
お風呂場やビニールプールで幼い子供が遊ぶアヒルの玩具は可愛いものですが、このように始末の悪い「アヒル」を大人が浮かべるのは、いただけませんね。