イスラエルと北斎

今日は、イスラエル独立記念日
イスラエルが独立したのは、西暦では1948年記念日は5月14日。
でもユダヤ暦では今年は、5月10日が記念日にあたります。
イスラエルのみならず、世界中のユダヤ人が、感慨深くこの日を祝っていることでしょう。


この日を意識したのかどうかはわからないけれど、日本でも、昨夜と今朝、イスラエルに関係のあるテレビ番組が放映されました。
5月9日(月)午後9:00〜10:30、NHKBS11で放送された、「北斎漂流〜初公開 謎のイスラエル・コレクション〜」がそれです。
今朝は、NHK総合テレビで再放送がありました。



2009年イスラエルで、浮世絵師・葛飾北斎の未知の名品が発見され、現在は、美術館に収蔵・展示されています。
この秘宝は、ドレスデンに生まれたユダヤ人画商、ティコティンが寄贈した3000点もの浮世絵の一部です。
北斎の名品はなぜイスラエルに渡ったのでしょうか?
番組は、激動の時代と戦火の中、ナチスの迫害を逃れつつ、日本美術のコレクションを守り抜こうとした一人のユダヤ人画商の生き方を紹介し、北斎の作品群が、ヨーロッパを流転し、一人の流浪の民によって、その本質を見いだされ、やがてイスラエルに安住の地を得ることになった経緯を伝えていました。
と同時に、人間が人間らしく生きるために、芸術がどんなに重要なものであるかを再認識させ、
イスラエルの人々、そしてイスラエル愛する人々が、芸術や文化をいかに大切にしようとしているかを垣間見ませてくれました。


見ごたえのある内容でしたので、ぜひもう一度、もっと多くの人が視聴できる時間に、放送してくれることを望みます。


 
                   『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』葛飾北斎

1820年代前半〜30年代前半に制作され、刷られた、この写実的でダイナミックな風景画が後世に与えた影響は計り知れません。
ゴッホは、画家仲間宛ての手紙の中で賞賛し、印象派に大きな影響を与え、この版画から着想を得たドビュッシーは、交響詩『海』を作曲しました。北斎の波は、この画と対峙する現代人の心を、今なお、圧倒し、揺さぶり続けているのではないでしょうか。