今日から新年度

3月11日に発生しました「東日本大震災」で被災をされた皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、安否不明となっている方々のご無事と、一刻も早い復興をお祈りいたします。


今日から4月。3月11日に東日本大震災が発生してから、怒涛のように時が過ぎた。
救援・復旧は少しずつ進んでいるが、福島原発事故の収束の見通しはまだ立たない。
おそらく、復興には、長い長い時間が必要だろう。

私が出来ることは、僅かだ。

翻訳ボランティア。
できる範囲で義援金を送る。
節電に努める。
風評被害にあっている地域から、商品を購入する。
良い情報を様々な人と共有し、伝達し、励ましあう。
必要に応じて、報道機関や自治体などに、建設的な提言をする。
仕事で関わっている子供たちと、防災や、災害時の協力について話し合い、大きな被災を受けた方々のために、各自にできることが何かを考え、実行してもらう。
などなど・・・ほかにも出来ることはあるかも知れない。

とにかく、希望を持って自分にできることをしていこう。


少し前になるけれど、手嶋龍一さんのオフィシャルページに、次のようなメッセージが掲載されていた。リーダーシップについて考えるヒントにしていただければと思い、ご紹介する。

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 http://www.ryuichiteshima.com/
              

「磁石の如き指導者」

 福島第一原子力発電所炉心溶融が起きかけていた時、菅直人首相は東京電力の本社に乗り込み、感情を露に東電側の情報提供が十分でないと叱責したと伝えられた。重大な危機が進行しているさなか、一国の指導者は決して激情を人前で見せてはならない。それは、危機を冷徹に制御しなければならない指導者が、自らの感情さえ御しかねていることを人々に悟られてしまうからだ。

 凡庸なリーダーほど「自分は聞いていない」と部下を叱責する。それは、自らが至らぬ指導者であることを示していることに他ならない。卓抜なリーダーのもとには、磁石のように貴重なインテリジェンスが吸い寄せられてくる。その威信のゆえに、下僚たちに競って報告しなければという気持ちにさせるのだろう。
 

1939年9月、ナチス・ドイツ軍が雪崩を打ってポーランドに侵攻した。これを受けて、英仏両国はヒトラーのドイツに宣戦を布告した。英国のネヴィル・チェンバレン首相は、政敵だったウィンストン・チャーチル下院議員を海相として戦時内閣に迎え入れた。海相として海軍省に舞い戻ったチャーチルは、復帰のその日から矢継ぎ早に指示を出したのだった。すでに十二分の情報をわが手にしていたからだ。意志のひとは、海相に復帰する以前に、英国海軍省と全艦隊の要路に「チャーチル・ネットワーク」とでも呼んでいい、自前のインテリジェンス網を築きあげていたのである。
 「文藝春秋スペシャル2011年季刊春号」の「『これから」を支える古典」に 「力の行使をめぐる普遍的な教訓」と題して、ウィンストン・チャーチルの『第二次世界大戦』を取り上げました。危機のなかの指導者を考える一助となれば幸いです。ご一読ください。

手嶋龍一